昔、よく言われたことがあります。事業づくりや起業は、とにかく挑戦してみて、走りながら実践で学んでいくものだから、勉強よりもまずやってみることが重要だ。確かに、それは半分あたってます。もちろん、事業づくりや起業は、走りながら答えを見つけていくものに他なりません。
でも、だとしたらなぜ、デザイン思考は生まれたのでしょう。リーンという考え方はなぜ生まれたのでしょう。どうしてピーター・ティール ( ペイパルのボス ) は本を出し、連続起業家は次々に事業を作れるのでしょうか。それは、単なる当てずっぽうの試行錯誤とは考えられないほどに、再現性があります。
研究手法としての事業デザイン
実際、事業づくりや起業は、世界中でどうすれば最もうまくいくのか研究されており、その知見や経験を学ぶことで過去の「成果を上げられた天才」に近づくことができると言われます。事業作りや起業は研究対象です。
確かに走りながら考えるのが事業づくりではあるのですが「より早く走り、より成果を出せる試行錯誤の方法」は存在しています。僕たちが学ぶ必要があるのは、事業という研究対象に対して、どう試行錯誤すればより成果を出せるのか、という「研究手法」そのものについて学ぶ価値があるのです。
そもそも事業デザインは研究そのもので、それぞれの市場や分野を徹底的に研究します。ただ、当てずっぽうに研究するのではなく、様々な研究手法を知っていれば、より効率よく未知の答えを探り当てられるのです。
そうした時代の進化が、事業づくりや起業を、一部の運にも人にも恵まれた天才だけが成し遂げられるものから、誰もが天才に近づいて作り出せる事業デザインという研究手法に変えていったのです。
事業だけでなく、マーケティングや各種スキルも重要
また、マーケティングやスキルの実践を交えた勉強や習得も、あるとかなり便利です。何度かお話していますが、Twitterの代表であるジャック・ドーシーもFacebookのマーク・ザッカーバーグも、エンジニアです。
ArtBnBの共同創業者をはじめ、最近のスタートアップ企業の代表はデザイナーも多いです。なんらかのスキルを持っていることで、余分に人件費をかけなくてすみますし、より最小の単位から事業をスタートさせることができます。自分で作ればいいわけですからね。それは、資金の少ない初期段階では、かなりのメリットになります。
マーケティングの知識も欠かせません。自分にそうしたスキルが無いからと言って、全てを誰かに任せていては、どんどんお金はなくなっていきます。そして、売り上げもあがっていない状態で、資金調達だけ重ねれば、いずれ資金を出す人もいなくなり、消滅していくだけです。
スティーブ・ジョブズは特にこれと言ったスキルがあったわけではありませんが、彼個人の存在がすでにカリスマでした。彼のプレゼン能力と圧倒的なプロダクトを実現する力があれば良いですが、全員が真似できるものではありません。
特に、総合的な知識やスキルを持っていると便利
事業を作り始める時には、特にスピードが重要と言われます。完璧でなくても良いからリリースしてみて、実際にユーザーの反応を見ながら改善を続けていくことが大切です。これはもう、基本中の基本なのですが、ポイントなのは完璧である必要がない、というポイントに他なりません。
最初、事業が売れると確信が得られるまでは、ある程度で良いのです。ただ、スピードが重要で、なるべく早くリリースに耐えられるところまで開発し、リリースしたあともユーザーの反応を見ながら即座に変更を加えていくことが重要です。では、この時に必要なスキルってなんでしょうか。
アフリカに、ある有名なことわざがあります。「早く行きたければ1人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」ということわざです。まさにその通りだと思うのですが、リリースを早めたいなら、いちいち細かく開発スケジュールを区切って議論しながら進めるよりも、昼夜寝る間も惜しんで完成させれば良いのです。経験上、分業よりも圧倒的に早いです。
また、もう1つメリットがあって、それは議論をすると割と意見がぶつかってプロダクトが平均化されることも多々あります。無駄に機能ばかり増えてしまったり。最初は個人で作ることによって、みんなで作るよりも偏った、尖った商品やサービスが生まれることも多いのです。この偏りというのが非常に重要で、偏るからこそ他のプロダクトと大きな差別化になります。
では、できる限り1人で作っていくためには、一体どんなスキルがあれば良いかと言うと、総合力です。完璧じゃなくても、提供できるくらいのプロダクトが生み出せるスキル。そして、生まれたプロダクトを販売し、売り上げに繋げられるスキル。総合的にスキルを持っているだけで、初期の、最もお金がない段階で費用をまったくかけずに売り上げまでたどり着けるのです。
そこである程度売り上げを作ってから、資金調達をして共同創業者を誘い、株式会社化して、遠くまでいくためのチームを作れば、ほとんど初期段階のリスクを負うことなく先に進むことができます。
ビジネスモデルを大量に知っていると、自分の事業のマネタイズに繋げられる
事業をつくる時に、サービスのアイディアは思い浮かんだけど、その後、どのようにマネタイズすべきかわからない、ということが多くあります。ひと昔前まで、マネタイズはあとでいいから、どんどんユーザーを増やそう、というのが定説でした。ユーザーが膨大にいれば、マネタイズはいつでもできると。
しかし、結局ユーザーを集めても「無課金だから使っていた」というケースがあることと、結局「マネタイズの効果的な方法が発見できない」などの問題に陥ることが多々あります。売り上げが出ていないのに、資金調達だけ継続し、実態が追いついていないけど企業価値だけは上がる、といったことが問題にもなり、今は売り上げをあげることも重要視される論調も強まってきました。
サービスのアイディアは思いついたけど、ビジネスモデルをどうすべきか、マネタイズをどうすべきか、という問題は、膨大なビジネスモデルを知っていることで、解決できる可能性が高まります。自分が今考えているサービスには、このビジネスモデルやマネタイズ方法が合う、というように考えられると、一気に将来の展望もひらけてくるでしょう。
例えば、ソーシャルネットワークが広告で稼いでいると知っていれば、コミュニティを作った時に、月額課金ではなく、広告でマネタイズできないか、というように。かなり安いシェアハウスを運営している時に、集まった人材を育成して企業に紹介、その代わり企業から寄付を募る、というように。様々なマネタイズ方法を学ぶことで、普通に考えればお金にならなそうなサービスも、売り上げを立てる突破口に繋げられるかもしれません。
資本政策の話もわかるとトラブルも回避できる
総合力で大事なのはスキルだけではありません。会社の仕組みや資本政策の話も、ある程度、理解したほうが良いでしょう。なぜなら、悪い大人に悪いように使われる可能性を避けるためです。
例えば僕の知っているケースで、売却したのに1円ももらえなかったケースがありました。悪いおじさんに「社長にならないか?」と持ちかけられ「いい経験だ!」と思って社長になり、頑張って売却までいきついたものの、株を1つも持っていなかったので、最終的に大きく儲かったのは悪いおじさんだけ、という結末です。こうした例は、そこそこあるようです。
もし誘われた時に会社の仕組みを知っていれば、こんなことにはなりませんでした。株式をもらえないなら、やらなければ良いのです。よい経験だから、という話で貴重な数年を消化してはいけません。実績はできますが、また数年ゼロから始めなければならないのです。売却までいきつける実力があるなら、自分で初めたほうがよりやりがいに繋がります。
また、投資と言ってもらったお金だったのに、契約書も何もなかったがために、「実は融資だったからお金返して」と言われたケースもありました。それで自己破産まで追い込まれたようなので、本当に無知であるだけで、悪い大人に捕まって痛い目を見てしまうのです。そうした悪意からの自己防衛をするためにも、ある程度資本政策についても知っておく必要があります。
事業づくりや起業は勉強したほうがいい
ここまでご説明すれば、起業について勉強したほうがいいということが、お分かりいただけたでしょうか。 実際、学んだほうが良い理由は、まだまだあります。投資家に話をする時に、用意しておくべきプレゼンテーションもそうですし、リーダーシップもそうです。開発で気をつけるべきこともたくさんあります。
勉強よりもとにかく実践!というのも良いですが、実際、知っていることの力は馬鹿にできません。もし何も知らない状態で事業づくりに挑戦するなら、無駄に遠回りをしてしまう可能性もあります。
ただ、もちろん勉強だけでもダメで、事業デザインはスポーツのようなものだと思っています。何度も実践で挑戦していくうちに、あらゆるケースで適切な決断と行動ができるようになっていきます。それは、勉強だけで身に付くものではなく、実践を何度もするからこそ、スキルとして習得できるものです。
僕は事業デザインは、天才だからできるのではなく、練習したら習得できるスキルだと思っています。そうでないなら「この世に何度も起業を成功させる連続起業家なんて存在がいるわけがない」のです。この言葉は、ペイパルマフィアのボス、ピーター・ティールの言葉でもあります。
なので、もし事業づくりがしたいのであれば、事業デザインをはじめ、起業に役立つ知識やスキルを習得してみてください。ただし、勉強するだけではなく、実践しながら勉強するイメージです。いくら頭に知識を詰め込んだところで、実践しなければ、何の意味もないのです。
起業はよく、アイディアだけあっても、実際に形にしなければ無意味と言われます。まさにその通りで、空想するだけだったら、何万人という人が同じようなアイディアにたどり着いているのです。それを実現するからこそ、アイディアには価値が生まれ、人々の手に届くのです。
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